シルバーブラッド 眠らぬ夜に
痛い?

自分はまだ、生きているようだ。

見ると、床に開いた穴に、浩之は足を突っ込んでいた。

朽ちかけていた床を踏み抜いたらしい。
 
ギザギザに割れた穴に足ははまっていたけれど、怪我はないようだった。
 
けれど、次は、殺されるのだ。

『怪我をしてなかったからって、何になる?』

見上げると、彼女は言った。

「早く言いなさい。

悪かったって」

声が怒りに震えている。

浩之は、ふっと疑問を感じた。

「あんたが謝らせたいのって、何のことだ?」




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