シルバーブラッド 眠らぬ夜に
彼女は怒りに任せて撃ってきた。

すぐそばを、弾丸が空気を切って飛んでいくのがわかった。
 
浩之が倒れないのを確認すると、彼女は口を開いた。

「あなたは十年前、英樹をこの世から抹殺した。

覚えてないとは言わせないわよ」

たった今、それを思い出したところだ。

しらばっくれるつもりはない。

けれど、なぜ彼女がそのことを知っているのかがわからない。
 
あのとき、見ていたのか?
 
だったら何で、そのときに英樹を助けようとしなかったんだ?

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