シルバーブラッド 眠らぬ夜に
庇ってくれたのは浩之の大好きなおばあちゃんだけだった。

そのおばあちゃんも、今はいない。

浩之はハッとして、さっき落としてしまったネックレスを、目の端で探した。

ネックレスの代わりに、褐色瓶が目に触れた。

床についた手の、すぐそばに転がっている。

「ここまではカオリのすることを黙って鑑賞させてもらっていた。なかなか楽しかったがな。けど、もう終わりだ。

あいつにお前は殺させない」

英樹はこみ上げる笑いを制御出来なくなったらしく、ほとんど声の無い、引きつるような笑い声を上げた。

柴崎さんはカオリというのか。

知らなかった。
長年迷惑に思っていた人と、薫先輩が一字違いの名前だったとは。


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