シルバーブラッド 眠らぬ夜に
もっと直接的に、浩之を傷付けにかかった。

すべては英樹のために。

そう思えば、もう一つ、謎が解けた。

かなり年上の彼女。

英樹は、いつかいなくなるための足がかりに、大人の生活力を確保していたんじゃないだろうか。

彼女っていう、形で。

では、いずれ、出て行くつもりだったんではないか?

浩之があんなことをして、きっかけを与えなくても。

なのに、ここまできて、英樹は柴崎さんを切り捨てたのだ。

もう、用済み。

はじめっから、利用していただけだから、彼女には未練も恩も感じないんだろう。
 
浩之は、柴崎さんを見た。

ピストルを握っていた右手が、床に投げ出されている。

その指先が微かに動くのが見えた。

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