シルバーブラッド 眠らぬ夜に
手をゆっくりと動かして、

褐色瓶を手のひらの下に置いた。

自分ですら、

自分が何を考えているのか分からなかった。

そっと冷たい瓶を掴むと、

ずっしりとした重みが手のひらに感じられた。

希硫酸の入った瓶は、一つだけ。

その三分の一の確率が、

浩之に味方した。

浩之は無意識に瓶のふたを開けて、

中身を英樹めがけてぶちまけた。

英樹の叫び声がした。

< 209 / 241 >

この作品をシェア

pagetop