シルバーブラッド 眠らぬ夜に
そうなってから、好きなだけ恐怖を反芻したらいい。

もしかしたら、そんなことも出来なくなっているかも知れないけれど。

 それでも、今は何をされても怖くはなかった。

 ただ静かに、闇の中の男を眺めていると、男は、すっと身を引いて立ち上がった。

離れる瞬間に、何かを浩之の胸ポケットにねじ込みながら。

 そして、数秒そこに立ちすくんだかと思うと、きびすを返して走り去った。

 どうして?

 
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