シルバーブラッド 眠らぬ夜に
何となく、アツい気はしていた。

首筋にも触れてみた。

そこにもぬるぬるした手触りがあった。

「困ったな。」

 浩之はつぶやいて、自分のアパートの階段を眺めた。

 あれを這い上がるのは、至難の業。

ってやつだろう。

 立てるようになるまで、ここに座り込んでいた方がいいかな。

でも、抜けた腰が回復するまでこんなところにうずくまっていたら、不審者と思われて通報されかねない。

そんな格好の悪いことにはなりたくない。

第一、血をたらたら流していて、思いっ切り怪しいのだ。

すぐに家に返してくれそうにない。


< 25 / 241 >

この作品をシェア

pagetop