シルバーブラッド 眠らぬ夜に
この姿を見られても、十分に怪しいな。

頼むから、誰の目にも触れないでくれ。

スーツのパンツを台無しにしながら階段まで這い寄って、鉄の手すりに手を伸ばした。

指先で鉄柵をつかんで体を引き寄せて、やっと手すりに手が届く。

と、ふっと笑ってしまった。

自分の腕が、自分の体重を支えられることに、我ながら驚いたのだ。

これだけの力が、あったのか。
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