シルバーブラッド 眠らぬ夜に
どんな風に自分の前から消えたかとか。

あんな突然の消え方はおかしいだとか。

それから、聞いたんだ。

英樹がどこに消えたか、何か手がかりになるようなことを知らないかって。

 聞いてるつもりはなかったけど、結構頭の隅にしっかりとこびりついているもんだ。

 浩之は彼女の話を頭の中で組み立てると、ため息をついた。

 この人は、十年間もそんなことばかり考えていたんだろうか。

 たまに思いつめたようにかかってくる電話でも、同じようなことばかり言っていた気がする。

 
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