シルバーブラッド 眠らぬ夜に
英樹は短く深く息を吐いた。

 頭の奥の方が鈍く痛む。

「あのね、一つ訊きたいんだけど。

英樹の、何がそんなにいいの?」

 彼女は、黙って視線をテーブルに移した。

 白いコーヒーカップが、濃い茶色の液体を満たしたまま、そこにある。

 ここは茶はがおすすめなのに。

紅い綺麗な色と、苦味の少ない、落ち着いた味わい。

 オレはそれが好きなのに。

 
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