シルバーブラッド 眠らぬ夜に
でもここに来る女の子達は、紅茶の色や味よりも、可愛いカップと苺柄のテーブルクロスやカーテンの方がお目当てらしい。

 白いテーブルと椅子に、苺柄の装飾。

どう考えても、男が独りで来るのは場違いなところだ。

たまに彼女に連れてこられた男が紛れ込んでいることがあるけれど、恐ろしいほど完全に、その存在が浮いてしまっている。

 こんな店に抵抗無く入れて、しかも場違いじゃない男なんて、オレくらいのもんだろうな。

彼女の指定した店だったけど、実は、浩之のお気に入りのみせだったりする。

彼女の方は、何でここを指定したのかわからないけど。

 浩之は、カップを手に、まだ熱い、紅茶をすすった。

 薄いカップの感触も、おいしい。

 暖かさが、胃に降りてゆく。


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