シルバーブラッド 眠らぬ夜に

意識外の逸脱

何か動くものがある。

木々を隔てた向こう側の道路に、車がある。

それが、さっきから浩之の歩みに会わせるように、のろのろ走って、微妙に迫っているのだ。

考えすぎか?

 車はゆっくりと浩之を追い越して止まった。

気味が悪い。

浩之は立ち止まって、きびすを返した。

車のドアが乱暴に閉められる音がして、足音が迫ってきた。

首をひねって振り返ると、小柄な男が浩之めがけて真っ直ぐに突進してくるのが見えた。

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