シルバーブラッド 眠らぬ夜に
『本当にいないの?まあいいわ。

あさっては英樹の誕生日よ。

忘れずに帰ってきてね。

必ずよ。分かったわね。』

 浩之は思わず深い溜め息をもらした。

 そのため息が息苦しくて、顔を上げた。

 端正だと言えなくも無いそのカオには、中性的な、というかどちらかというと女性的な雰囲気がある。

 そのせいか、電車に乗ると、よく男の痴漢にあう。

 おしりを撫でりっとされると、恥ずかしさと怒りで、石化する。

女の人が声も出せない気持ちが浩之には分かる。

電話が切られた。
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