シルバーブラッド 眠らぬ夜に
 こういうことに慣れているはずの浩之でも、石化してしまった。

 えっ?

 もしかしてお得意のだじゃれ?訳わかんなかったけど。

 ここに来るたび、理解するのが難解なだじゃれを言われるので、いっつも浩之の脳みそはかき混ぜられる。

 それなりに覚悟してくるのだが、それでもたまに、えっ?となる。

「すいません。高度すぎて僕には分かりませんでした」

「そうか?包帯と放っといてをかけたつもりなんだが」

 包帯?ほうったい、放っといて?

 それにやっと気付くと、あまりにかけ離れたことを平然と口にした、この先生の図太さと、しれっとした態度がおかしくてたまらなくなった。

「あはははは」

 浩之は心底笑った。
 
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