シルバーブラッド 眠らぬ夜に
「たまに、消毒用アルコールを拝借して帰るのに使っとる。

切山くんも、会社にめぼしい薬品があったら、いただいて帰るのに使いなさい」

「なんですか、めぼしい薬品って」

「クロロホルムとか」

「何に使うんですかっ」

 フォフォフォと、錦先生は笑った。

「第一、開封した試薬なんて置いてませんし売れません」

「そうか、残念」

 何が残念なんだか。

「他に何かご注文はないですか?なるべくなら、至急じゃないもので」

 錦先生はまた、人のよさそうな笑顔でフォフォフォと笑った。

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