シルバーブラッド 眠らぬ夜に
「そうですか。

その培地デゾキシコレートですよね。

大腸菌群じゃなくて大腸菌を分離できる培地もあるんですけど……まあ、出ないんなら必要ないですね」

「ええ。まあ。

一般細菌だって出ないのよ。

殺菌済みの検体だから出たら困るけど」

「そうですね」

言いながら、周りを見た。

試験管立てのようなものに、十数本のガラス器具が並べられている。

それがまた、奇妙な形なのだ。

太目の十センチくらいの試験管の先に、悪魔の尻尾をガラスにしたようなものをくっ付けた器具なのだ。

うちの会社では見たことがない。

ずっとこれが何なのか気になっていた。
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