シルバーブラッド 眠らぬ夜に
「ああ、切山に夢を壊された。

フランス語の名詞は女性名詞と男子名詞しかなかったけど、そこで見事につまずいたわよ。

信じられない。

何でこんな嫌なやつが、社内の評判いいのよ。

知ってる?あんたの評価は、真面目で仕事が出来て無口で笑顔が可愛い、なのよ」

「知らない。オレじゃないね。それ」

「そうでしょうとも。悪魔め」

 増本さんは、長い髪をかきむしった。

「いいんだもん、お姉ちゃんとまた行こうねって約束したんだから。

一緒に語学も勉強するんだから」

「うえ。仲良すぎ、あんたら」

 薫先輩が言った。

「そうですか?羨ましいけど」

 浩之は言った。
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