シルバーブラッド 眠らぬ夜に
美味しい。

「切山くんにはちょっと苦いかもね」

 増本さんは言って、薫先輩も同意した。

 浩之は、甘いものは苦手なのだ。

なのに、見た目のせいか、頂いたものは美味しく食するというポリシーのせいか、甘いもの好きと思われている。 

「はい、チョコにコーヒーをどうぞ」

 痛い系話の嫌いな桐田さんが、何となく浩之から顔をそらせ気味にコーヒーを手渡してくれた。

「あ、ありがとう桐田さん」

 左手で受け取ると、桐田さんは、自分が痛いような表情で、浩之の右手の包帯をちらっと見た。

「あーあ、桐田、切山はコーヒー飲むと鼻血出すのよ」

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