シルバーブラッド 眠らぬ夜に
こっちが関わりを持ちたくない相手に、どうしてみんな、関わらせようとするんだろう。

 すごい迷惑だ。

英樹のことを考えると、浩之の心の中を、どす黒い感覚が撫でてゆく。

何度味わっても慣れそうに無いその感覚に、浩之は好きなようにさせてやる。

今まで生きてきた記憶の大部分を蝕んでいるヤツの記憶は、ドロドロとした感覚になって、好き放題に、浩之の心を痛めつけるのだ。

少し前までは、この感覚に襲われる度に、早く追い出してしまおうともがいていたのだが、今では諦めてしまっていた。

それを意識しているうちは、英樹を意識しているってことだ。相手になんかしてやらない。

好きなだけ、オレの自己嫌悪を煽ればいい。
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