空に口づけを
「ね?」

彼女がばっと振り向くと髪についた水が散った。

「うん」

私はまた、ぼんやりと水色を眺めながら返事をする。

耳の奥からセミの鳴き声と水が跳ねる音がする。

あ、やば。
水だしっぱなしだ。

「地球温暖化!」

きゅっと蛇口をひねると彼女がこっちを見て笑っていた。

なんだか妙に喉が渇く。

蛇口の向きを上向きにして、また水を出す。

喉を通っていく感覚が気持ちいい。

「あ」

声に振り向きながら、蛇口をひねる。
彼女がどこかを見つめている。

あーもう、花壇の低い木が邪魔でよく見えない。


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