追憶 ―箱庭の境界―
「……ふふ…ふふふ。力在るものが、能力の高い者が上に立つ…。何をされても文句は言えない。確かに…、そんな世の中ですものね…?」
「あぁ!分かったら帰れよ、兄ちゃん!」
「…罪の無い黒猫の上に立つ貴方。ウィッチの力を無くした貴方の上に立つのは、僕です。」
「は?」
「…僕が貴方に何をしても、構わない。そういう事を言っているのでしょう?ねぇ…?文句はありませんね?貴方は低脳な人間ですからね?」
「……おい…!ちょっ…」
「貴方にも、ご自分の立場を解らせてあげなくては…」
さよなら。
下等な、ただの人間。
僕は沢山の返り血を浴びて、
町外れで、
大声をあげて笑っていた。
初めて、
人の命を奪った。
間違った事をしているとは、
微塵も思わなかった。
此処は、
低脳たちが巣食う場所だ。
アンの命が奪われて良いのであれば、僕が彼らに何をしても構わないはずだ。
アンを奪われて、
何とか保たれていた僕の心が、
壊れた。