追憶 ―箱庭の境界―
「…貴女に触れる日は、貴女を自由に与える日と決めていましたが、……少々、予定を変更します。」
待ち望んだ、
柔らかなリフィル様の肌。
僕の力のこもる指が食い込み、
彼女の表情が痛みに耐える。
「――…離しなさい!マルク!」
「…可哀想なリフィル様。今まで、さぞ独りで辛かったでしょうね?だから、運命を受け入れてしまったのですね…?」
「未だそんな事を言っているの!?何故…解らないの!?」
彼女の「強がり」に、
僕は耳を貸さなかった。
「国の責任を負ってしまった、可哀想な其の『心』。一度、僕がお預かり致しますね?」
「――…な!?何を…」
貴女の為に鍛練された、
僕の「白い魔力」は、
僕に向ける事を躊躇う、
精神の弱った貴女の「黄色の魔力」を意図も簡単に打ち消した。
僕を愛する故の躊躇い。
ほら…、
僕は、間違えてはいない。
「…貴女の『心』、お預かり致します。此れで、貴女は国の責任から逃れる。」
彼女の「心臓」が、
僕の手のひらの宙で脈打つ。