追憶 ―箱庭の境界―


目的を果たせる術を、
私は全て失ってしまった。


「…アンネ、貴女が居たなら…私に何と助言してくれますか?」

「私は何処で間違えたんでしょうね?アンネ…」


いつから、
私は気付いてしまっていたのか、もう分からない。

「馬鹿な事をしている」と。
「私は間違っているのだ」と…。


このまま、
退く訳にはいかなかった。

私が張ったバリアは、認知されない者が通ろうとすれば一瞬で灰になる威力があった。

リオン様がそれを理解した上で、逆手に取って利用したとすれば、私が同じ目に合う事は明らかだった。


「…でも、死に逃げる事が出来ないのですよ…」

「…このまま貴女を置いては逝けないんですよ、リフィル様…」


眠るリフィル様の顔を見て、
ひっそりと、
何度そう呟いたか、
もう…私には分からない。


全てが私の悪事だと明かしては、リフィル様は城に残り、国の責任を負う事になってしまう。

私が働いた分の責任をも全て。


それでは目的は果たせない。
彼女は自由になれはしない。

だから、
明かしてはならない、絶対に。


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