追憶 ―箱庭の境界―
20・『 心の底に秘めた物 』
20・『 心の底に秘めた物 』
あぁ…リオン様。
やっと来てくれたのですね…
「姉上と…、ルリ島にいるカルラ様を返していただこう!!」
「――!!…ふふっ…」
私の表向きの柔らかな笑顔が、意地の悪い笑みへと変わっていく。
「ふふ…、はははは…!そこまでご存じ!やはりあの黒猫ですか…?始末するべきでしたね。」
全て、私の思惑通り。
黒い仔猫は、この城に「お友達」を沢山連れて来てくれた。
城の談話室。
立ち上がった彼ら数名の椅子が、後ろの石の床で大きな音を発てる。
緊迫した空気が、
一瞬にして現れていた。
「…キース君、生きているとは思いませんでしたよ?」
彼らの中に1人。
昔馴染みがある人物が居た。
ラルファに刺客として送り込んだ、キースという側近だった。
死んだと思っていた。
生きていた事を知り、少しだけ自分の罪が軽くなった気がした。
しかし、錯覚だ。
罪は軽くはならない。
「リオン様、今まで貴方には苦労しましたよ?反乱軍の働きは多いに邪魔でした。」
私は余裕の表情を浮かべた。
悪役は身に染み付いていた。