追憶 ―箱庭の境界―
目の前に、少女が居た。
気が付けば、
境界近くの広い河の上だった。
涙は、乾かない。
自分の感情は追い付いてはいないのに、涙は止めどなく流れ続けた。
「心」が泣いているのだと思った。
翼も羽ばたかせずに、
何故か、
少女と供に空を飛んでいた。
「…鬼さん、…戻ってきた…?」
少女は我の手を引き、
顔を覗き込みながら言った。
『……戻ル…?』
「うん。…風が言ったの。鬼さんは自分の『追憶』の中に行っているんだって。時期に意識が戻るだろう…って。」
『……風ガ…?』
「うん。あ、河を渡れずに困ってたらね、風が来たの。それで、風の道を河の上に引いてくれたんだよ?」
我らは、風の道を飛んでいた。
もう時期に、
「境界」に着いてしまう。
『…其レハ、花ノ匂イガスル風ダッタカ…?』
「うん。鬼さんは答えを見付けて戻ってくるって言ってた。」
…答え?
答えは見付かってはいない。
『…其ノ風ハ…』
「…うん、鬼さんも知ってるでしょ?運命を紡ぐ者。」
少女は知っていた。