追憶 ―箱庭の境界―



「…私は、2人の子供として生まれるはずだった存在。」


少女は強い口調でそう言った。

我はただ、
ゆっくりと首を横に振る。


「鬼さんは…、ううん。貴方は、私の『お父さん』になるはずだった人。」


信じられなかった。

運命など、
人が知れるはずもない。


「…信じてなくても、本当なんだから!だから、私はどうしても、境界を越えるまで連れていくからね!」

我は未だ、
前に進もうとする少女の手を引き返していた。


『…行ケナイ…』

「…生まれるはずだった私に、少しでも悪いと思う?申し訳ないと思う!?」

もし、
其れが真実だとするならば、
自分の選んだ道を後悔している今以上に、自分を恨んでいる今以上に…。


「――じゃあ、行こう?お父さんが次の世界に進まないと、私は生まれない。」

『………!?』


我が、親に…。

こんなにも、罪に汚れた親が在って良いものか。


「洗礼を受けたなら、知ってるでしょ?この世界には6つの世界が在る。旅をして…少しずつ学んでいくんだって…。」


失敗と挫折を繰り返し、

いつの日か、
「完全」となる為に…

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