追憶 ―箱庭の境界―
「…私がやるとね…?」
少年に手本を見せるかの様に、少女が液体に手を向ける。
少女が自分の『血』を感じている様が分かる。
髪は風もなく宙になびき、体からは黄色く光る『力』が滲み出る。
液体は茶色から黄色に変化し…
――…パンッ…!!
「…わぁっ!」
成功かと息を漏らした其の時、大きな音を発てて液体は容器ごと吹き飛んだ。
「…あはは。ご免なさい、びっくりしたわね。」
「…吹き…吹き飛んだ…」
少年は目を丸くして驚くが、少女はいつもの事だと言わんばかりに余裕の表情で首を傾げる。
「うーん、力の加減が難しいの。何度試しても吹き飛んでしまうの、私は…」
「僕は力が足らない。貴女は力が多すぎるんですね?」
「同じウィッチなのに。どうして、こうも違うのかしら。」
腕を組み大人びた表情で首を傾げる幼い少女に、少年は苦笑いをする。
其の理由は、すでに少女を通して教わっていたからだ。
「それは先日聞きました。羨ましい事に…貴女が『色付き』だからですよ…。ふふ…」
ウィッチは、
各々自らの血に『色』を持って産まれる。
少女は『黄色』。
少年の色は、『白』。