追憶 ―箱庭の境界―
7・『 鳥籠の中の少女 』
7・『鳥籠の中の少女』
少女は、
『鬼ごっこ』に、
『自由』を求めていた。
少年もまた、同様だった。
自分でも知らぬうちに、同じ物を求めていた。
「…やっぱり…、私に『自由』なんて無いのね…?リザ、貴女はいつも城から抜け出した私を監視していたのね?」
少女はローブから頭を出し、空へと向かって声をあげる。
しかし、空からの返答はない。
空は太陽が陰り、
夕暮れ色に染まり始めていた。
「――ここへ来なさい!リザ!」
少女がそう命令した瞬間、
シュン…と、
少女の向こう側に女性の姿が現れた。
女性が身に纏うのは、
少年と同じ『白い魔力』。
(…し、瞬間移動…?)
少年は初めて目にする其れに戸惑うが、少女にとっては普段から見慣れている現象。
すぐに膝をつく侍女らしき女性に向けて話し出した。
「……父様の命令なの?」
「いいえ。王には、お話しておりません。抜け出したリフィル様が心配で、独断で見守らせていただきました…」
「…そう…」
侍女と話す少女の表情は、少年が見慣れた物と程遠い『王女の顔』をしていた。
「…お小言は後で聞くわ。私、鬼ごっこの最中なのよ?そこを退いて。」