追憶 ―箱庭の境界―


「――そうよ…弟。リオンは男の子じゃない!どうしてリオンが王家を継がず、女の私なの!私は継ぎたくなんてない!!」

「リオン様が、『緑色の魔力』だったからです。お分かりでしょう?」


少女には弟がいた。
年齢に関係なく、男性が王を継ぐ事が一般的だった。

しかし、此の国では魔力の強い者ほど其の権限を持つ。


『魔力の色』は、
『原色』であるほど強い。

親である王と妃が持つ魔力は『青色』と『黄色』。
少女の魔力は『黄色』が継がれ、弟のリオンには二者の混じった『緑色』として継がれた。


「――リオンが原色だったら良かったのよ!どうして私だったのよ!!」

「…リフィル様、それは神のみが知る事…。例え王の魔力であろうと、変えられる運命ではありませんよ?」

少年はただ呆然と、肩を落として見守るしかなかった。


(…王女…。時期に国王になる娘だって…?)

浮き彫りになった少年と少女の身分の差は、想像を遥かに越えた物だった。


「…マルクと言いましたか。貴方の事も調べさせて貰いましたよ?」

侍女の目線が少年へと向き、少年はビクリと肩を震わせた。


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