追憶 ―箱庭の境界―


其の日を境に、
少年の居場所は無くなった。

少年からすれば、
「自分から手離した」という方が正しい。


「…お前、王女と友達だって!?王宮にはたんまり金があるんだろうなぁ?王女に上手く取り入って少し位は金を恵んで貰えよ。今まで世話してやったんだ。恩は返せ?な?」

(…そんなんじゃない…)


「何言ってんだい、あんた!お前、王女を連れ回したなんて!打ち首になったって可笑しくないよ!うちで世話してやってるのが知れてるそうじゃないか!無関係のアタシらまで巻き込まれたら堪ったもんじゃないよ!大丈夫だろうね!?」


(…そんなんじゃないんだ、僕らは…僕らはただ…)


「お前、王女に魔術を習ったらしいな?てんで使えない見かけ倒しだと思ってたが。ほれ、仕事を増やしてやるから魔術でチョチョイとやってくれよ。なぁ、ウィッチ様?」


(…………!?)


「あんた!ウィッチとはいえ、何も出来ない子供だからアタシは承知したんだよ!?魔術が使えるんだったら…。何されるか恐くて、同じ屋根の下でなんて寝られやしないよ!」


(……なんで…?)
(…おばさん、僕が恐いの?)

< 53 / 192 >

この作品をシェア

pagetop