君は星

8.星の噂

「ね、聞いてる?更莉。」

友達の裕恵が言った。

「え?ああ、ごめんごめん!何?」





何をしていても、昨日の出来事が蘇る。

あの後、来たときと同じように電車に乗って、駅からは、爽が家まで送ってくれた。

特別何かがあるわけでもなく、他愛のない話をしていた。

そして、私の家の前に着き、



"じゃあ、またね。"



と言って別れた。

しかし、その表情は、あまりに穏やかで、愛しくて、少しでも油断しようものなら、また涙がこみあげてきそうなほどだった。





「だから、文化祭の劇、ロミジュリじゃん?もし芸能人がやるとしたら、ロミオは誰がいい~?」

文化祭…もうそんな季節かぁ…。

でも、もうじき秋とはいえ、まだまだ暑いけど。

「えーとぉ…。」

「ちなみに、今んとこダントツで吉岡爽がトップよ!」

私はドキッとした。



…もしも私が居なかったら、本当に、爽はここまで売れていなかったのだろうか。



―…なんて、ね。





「あ、そうだ!吉岡爽といえば、あの話知ってる~!?」
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