君は星
「え?」

「じゃあ、もう人手も要らなさそうなんで、更莉ちゃん借りていきまーすっ!」

「え?ちょっ、何…」

私が返事をする前に、爽は、私の手を、強く引いていった。

既に遠くで、裕恵は「紗和ちゃんありがとー!あとは任せて~。」戸山くんは「吉岡さん、また後で来て下さいね!!」と言っている。


「ちょっ…急にどうしたの!?爽!!」

私は小声で言った。

構わず爽は速足で歩く。

強く私の手を引いて。

「…更莉ちゃん、人があんまり来ない所、ない!?」

やっと爽は口を開いた。

「え?…っと…向こうかな…。」

どっちみち、人が多いところでは話ができないので、私たちは、校舎の中でも端の方の、階段の一番上まで来た。



「はぁ~っ!!」

バサッ、と、爽は、いきなり溜め息をつき、サラサラロングのウィッグを外した。

しかし、いくらいつもの髪型に戻ったって、化粧も残ったまま。

…やはり、女の子にしか見えない…。





「やっぱり駄目だ!!」
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