君は星
「駄目…って、何が?」

「………。」

爽はうつむいている。

私は、急に心配になってきた。

人が多すぎたせいで、気分が悪くなってしまったのだろうか…?

「ねぇ、爽…どうしたの…?大丈夫!?」

私は思わず、爽の肩に手を置いた。

すると、爽はゆっくりとこちらを見た。

「…僕がここに来た理由はね…」

私はこくりと頷いた。



「まず、更莉ちゃんに会いたかったから。」

思わず瞳が潤んだ。

「…うん。」



知っていたはずのことなのに、言葉として言われると、こんなにも嬉しい。



…でも、この口ぶりは…それだけではなかった、というのか…?



「次に、"文化祭"に来てみたかったから。」

「…うん。」

そうだ。

爽は、学校自体にはほとんど行ったことが無いのだ。

通信制の学校で、きっと、いつだって仕事に忙しかったのだろう。






「…最後に、」

え?

まだ、何かあるの?
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