君は星
「紗和ちゃん!!」
「え?」
心配そうに脇に座っていた爽は、目を丸くした。
「でも、今から台詞を覚えるなんて…。」
戸山くんは心配そうに言う。
「無理かな?紗和ちゃん……。」
爽は、にこっ、と微笑んだ。
「私で良ければ。」
幸いにも、衣装はピッタリで、見た目は完璧"ジュリエット"そのものだった。
…男だということを忘れてしまうほどに。
そして、渡された台本を読み始めた。
「もうすぐ時間だ!!準備始めないと!」
ある男子が言った。
「大丈夫?そ…紗和!」
危ない危ない。
爽は、ス、と
顔を上げた。
「大丈夫。」
自信に満ち溢れたその瞳は、眩しかった。
『次は、2年C組によります"ロミオとジュリエット"です。』