君は星
「きっとファンが理解してくれるって信じてるし、事務所も理解あるトコだから分かってくれるよ。」

「もし…分かって貰えなかったら?」

「その時は…」





「やめちゃうかもしれない。」





「え…!?」

「仕事も確かに僕の一部で、すごく大切なんだけど…」



「でもやっぱり、更梨ちゃんには負けちゃうからね。」

そんなににっこり笑って言わないで。

「でも…爽は、言うなればみんなの"星"でしょう?」

「星?」

私はうん、と
小さく頷いた。

「星がなくなれば、暗くて何も見えなくなるし、道標を失って、困ってしまう。」

爽は、なるほど、と
小さく呟いた。

「でもさ。」

でも?

「星は、僕だけなんかじゃない。」

違うよ。いつもみんな、吉岡爽吉岡爽って言ってるもん…。
他のアイドルの名前なんて、滅多に出ないんだから…。





「こうしている今だって。」
< 55 / 60 >

この作品をシェア

pagetop