LOVEファイト!
「まあまあ、落ち着いて」

わたしは学生の肩をポンポン叩いた。

「ちょっとわたしに見せてみて」

「…ああ」

学生は面食らっていたが、素直に避けてくれた。

わたしはコイン入り口を覗き込んだ。

別に何かが詰まっているワケじゃなさそうだ。

でもお金を入れても、機械は動いていない。

それにお金が入った表示もされていない。

コイン返却のスイッチを押しても、無反応。

「…ホントはお金なんて、入れてないんじゃないの?」

「ねぇ。ああやって、ジュースを盗もうとしているんじゃ…」

近くにいた主婦二人組みが、こちらを窺いながら言った。

< 41 / 131 >

この作品をシェア

pagetop