scar of heart【BL】
お見舞い
結局、ろくに眠れず朝を迎えた。
胸に秘めていた想いを、自分の口から伝えられたことが、嬉しくて。
ちゃんとした形で付き合い始められたことが、嬉しくて。
身体の疲れよりも、それに対する喜びの方がずっと大きかったのだ。
あんまり早くにお見舞いに行っても、有貴やご家族に迷惑が掛かるかもしれないと思った俺は、午後3時、おやつの時間の頃に病院へ向かおうと考えた。
まだ午前9時。
時間は悠に残っている。
何か見舞いの品とか持って行った方がいいのかな。
お花とか、果物とか、そういう感じの物を。
有貴のことだからきっと
「わざわざ悪いよ、大丈夫だから」
なんて笑顔で言いそうだけれど、それが礼儀というものだろう。
恋人という間柄でも、礼儀はきちんとあるべき。
そう思った俺は、病院へ向かいがてら、お花を買って行くことに決めた。
見るだけじゃなくて、香りも楽しめるお花とかあったらいいな。