scar of heart【BL】
土手にこだまする歓声。
試合は両チーム一歩も譲らず、遂に9回裏を迎えた。
2死1塁3塁。
俺達のチームの攻撃。
アウトを出したら延長戦。
ヒット以上だと勝って試合終了。
そして今、打席に立っているのは俺。
ここはなんとしてでもヒットを出して、試合を終わらせてしまいたい。
早くケーキに会いたくて仕方がないのだ。
ケーキへの想いを馳せ、向かって来るボール目掛けてバッドを振る。
そこには、確かな手応え。
真っ青な空に大きな弧を描くボールを見上げながら、走る、走る、走る。
ボールの行き着いた先はグローブの中ではなく、柵の向こうだった。
大きくなる歓声に包まれながら俺は、力強くホームベースを踏んだ。