scar of heart【BL】
上機嫌で教室を出て、下駄箱へと向かう。
今度は有貴の姿が。
そしてもう1人、友達だろうか…?
後で驚かせてやろうと、下駄箱の影に隠れた。
「小泉は…俺のこと、好きか?」
「…好きだよ?野球上手いし、尊敬してる。良い仲間だと思ってるよ」
あいつ…確か有貴と同じ野球部のキャプテン?
にしても、背高ぇ…いいなぁ。
「そういう好きじゃなくて…」
「お前…」
「俺は…小泉のこと、好きだ。友達や仲間とは違う感情でね」
有貴が両腕を捕まれて後ろの下駄箱に押し付けられている。
「やめろ。俺には好きな人がいるんだ」
「城崎と別れたんじゃないのか!?」
「他に好きな人が出来た。誰よりもそいつが可愛くて愛おしくて堪らない。だから、お前のことはそういう目で見れない」
体格のいい彼から押し付けられれば、少しは痛みを感じるだろうに、有貴は全く表情を変えない。
「…わかったよ。無茶言ってごめん。部活行こうぜ」
「…あぁ」
歩き出す2人。
…入るタイミングが、無かった。
それより、有貴の他にも男を好きになるヤツがいたことに驚いた。
確かに有貴はカッコいいしなんか綺麗だし…
そんな有貴が俺が好きだなんて、未だに信じられなく時がある。
本当に…俺でいいのか?
何度、そう言いかけたことか。
言おうとする度に、有貴が俺に笑顔を見せるから…
喉まで来て、また言葉が逆戻りして行く。
自宅までの帰路、有貴のことで思考を巡らせていた…