scar of heart【BL】
「流羽くん、ちょっといいかな?」
「ん…?どうした?」
男友達と話しているところに、珍しく柚里がやって来た。
「いいなー、流羽お呼びだしじゃん」
「うるせぇなー。…で、何かあったの?」
「ちょっと、場所移さない…?」
「うん…」
柚里に連れられて教室を出て行く俺の後ろは、妙に騒がしかった。
「あのね…日曜日、和馬くんも流羽くんの応援がしたいって…」
なんだ。
そんなことか。
「別にいいけど」
俺は素っ気なく返事をして、教室に戻ろうと身体の向きを変える。
「…やっぱり練習とかって大変?」
「…練習?」
今日の柚里、なんか変だ。
俺の方から話題を持ちかけることはあっても、柚里からというのは殆どない。
そもそも、柚里が2人だけで話そうと言う時点でおかしい。
「うーん…大変だけど、楽しいかな。…柚里って柔道に興味あったっけ?」
「柔道に興味があるというか、流羽くんが……」
その瞬間、柚里の身体が大きくぐらついた。
「すっ、すげぇ熱…!」
しかと柚里の身体を受け止める。
不意に触れた柚里の頬は熱く、汗でじっとりとしていた。
「保健室、行こう!立ってられるか?」
俺の問いかけに、小さく首を横に振る柚里。
「嫌かもしれないけど…我慢してな」
俺は、柚里を背中におぶって走り出した。