scar of heart【BL】
「先生!柚里が……ってマジかよ」
保健室の机の上には
『先生は出張に出掛けています』
と書かれた紙が。
こんな時に限って…何の為の保健室だ。
とりあえず、柚里を保健室のベッドの上に下ろす。
「ちょっと待ってろよ?」
氷枕と体温計を持って、ベッドに横になる柚里のもとへ駆け寄った。
「はい、頭乗せて?」
「うん…」
上にタオルを敷いた氷枕にゆっくりと頭を下ろしていく。
「あと、体温も…」
柚里は体温計を受け取ると、リボンを緩め、上からボタンを1つずつ外し始めた。
体温を計るだけとわかっていても、頬を熱らせ湿らせた肌とその仕草に、思わず息を呑んでしまう。
「38度か…」
「流羽くん…手…」
「……柚里」
柚里の手を優しく包み込む。
「流羽くんの手、優しい手だね…」
「…優しい手だなんて、初めて言われた」
柚里に視線を送った時、既に柚里は目を閉じていた。
規則的な寝息を立てる柚里をじいっと見つめる。
…今だけなら、許されるだろうか?
そう信じて、柚里の額にキスを落とした。