scar of heart【BL】
第3章 終わりと始まり
「最近、暑くて嫌になっちゃうよなー…」
期末テストも終わり、夏休みまでまっしぐらの、そんなある日。
俺は柚里と、いつもと同じように一緒に下校していた。
けれど今日は、いつもと同じなようで、少し違っていた。
柚里が図書室に用があるというので、帰る前に別校舎にある図書室へ。
教室がある校舎から距離があるため、俺なんかはあまり使わないけど…
使わないというか、こんな暑い中そこまで行こうとは思わない。
ま、柚里が一緒なら別だけど。
そして、別校舎から校門までの道のり、普段はあまり通ることない、グラウンドの横を通る。
暑いのに毎日練習ご苦労様です。
3年生にとって、最後の地区大会をすぐそこに控えている野球部。
グラウンドからは毎日元気な掛け声が飛んでくる。
…有貴だ。
サードを守っている有貴の姿が目に入った。
「野球部ってなんかカッコいいよね!」
「…だよなぁ」
「少し見ていく?」
「うん」
足を止めて、野球部の練習をフェンス越しに見ていくことにした。