*The Last Year*
「明日から」
「やっぱ?」
だるそうな顔をした本田は、私の通信簿をひったくった。
「ちょ、見ないでよ」
「うわー悲惨」
私の通信簿を見ながら、笑いだす本田。
「人のこと言えないでしょ」
そう言って、本田から通信簿を取り返した。
私は本田と同じ塾に通っている。
だから彼の成績は知ってるのだ。
私と同じくらい、かなり馬鹿。
ギリギリ公立に行けるかな?ってところ。
「1時から8時とか……」
本田は指を一本ずつ折っていく。
「……7時間も勉強か」
私と本田は、がっくりとうなだれた。
「明日から冬休みだけど、お前らは受験生だ。
わかってるな?
‘勉強するための’冬休みだぞ」
担任のそんな声が聞こえた。