My Dear Bicycle Racer!!
帰りのホームルームが終わり、クラスの連中は部活に行ったり、帰ったりといろんな姿が映る。私の友人の新井も部活に入っているが、かなりの特殊と言われている、『ハイパーメディア研究部』所属だ。聞けばその部活はアニメ・漫画・テレビなどで流れている番組を徹底討論し、お互いにそれが利益になるかというものらしい。まさに新井にはうってつけの部活だ。今日は活動日らしく、ホームルームが終わった後、遅刻厳禁なため一目散に部室に向かった。
部活に入っていない私は、桂木を誘い出す。桂木は無言だったが、私の元にやってきた。それを見ていた、仁村彩花(にむらあやか)が私を引っぱった。仁村は、私とは対照的で物静かな女性だが、恋愛に関してはもの凄くうるさい人なのだ。
「ちょ、ちょっと。あんた、月原君いるじゃん。なんで桂木君と帰るの?浮気?」
どうやら、私が月原に振られたことを知らないみたいだ。
「あ~知らないんだっけ。振られた」
「はぁ!?マジで?なんで?相思相愛だったじゃん」
「なんか、一方的に・・・」
「ええ~それ、あり得ないって・・・。でも、あの噂、本当なのかもね・・」
「噂って女癖が悪いってやつ?」
「うん。イケメンなんだけど、それさえ直ってくれればな~」
談笑しているときに、桂木が割って出た。
「俺、先に外に行ってるよ」
そう言うと、桂木は廊下を後にした。私は、彩花に「ごめん、また明日」というと、桂木を追っていった。
下足室にいる桂木を見つけた私はすかさず話しかける。気のせいか、桂木は不機嫌そうだ。
「もしかして、怒った?」
「別に怒ってないよ。話長くなりそうだから、外に行こうかなと思っただけ」
「そうなんだ。私、てっきり・・」
学校を出て、港湾駅に向かう2人。電車の中は利用客でいっぱいだ。私は運良く座席に座れたが、桂木はつり革という状態になってしまった。周りはサラリーマンなどで囲まれている。私なら耐えられない状況かもしれないが、桂木はそんなのはお構いなしに広告を見ている。
「次は、高木浜、高木浜です。中央線、八幡空港線、地下鉄東西線、地下鉄南北線、私鉄 天海ライナー1号線、2号線、3号線のご利用のお客様はお乗り換えです」





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