My Dear Bicycle Racer!!
穏やかな笑みで挨拶をかわし、2年生全員が挨拶を返した。
「さて、これより、学年別に分かれて特別講座を行います。えと、2年D組の生徒の皆さんはこちらにご案内致します」
佐野がクラス全員を講堂室に連れて行った。中に入ると、私はしばし、呆然とした。広い。この言葉だけが口に言い表せない。目の前には長い机が列を作ってある。遠目で見ると、大きめの教卓がある。
「それでは、皆さん、お好きな席にお座りください。座りましたら、資料を配ります。講座は長いですが、最後までお聞きくださいね」
講座が始まり、街の歴史や文化に関することが続いた。だけど、こんなの習ってためになるのだろうかと考え、しまいには退屈になり窓を眺めたり、肘をついたりした。佐野に気づかれないように周りにみると、同じような状態になっていた。ただし、西沢を除いて・・。
チャイムが鳴り、教室は安堵感に包まれた。ため息をついたり、腕を伸ばしたりする者もいる。
「皆さん、お疲れ様でした。これより、20分間休憩に入ります。休憩後は各教室などを回りますが、どこか希望したい所はありますか?」
佐野がマイクでしゃべり始めると、その瞬間に「自転車部はありますか?」という明智の大きな声がした。
「ありますよ。では、次は自転車部を見に行ってみましょう」そう言うと、佐野は教室を後にした。明智は嬉しそうな顔をしている。すかさず、新井が明智に喋り始めた。
「あんた、本当に好きだね~あたしにはよく分からんよ~ねえ~明日香っち」
私は桂木の顔ちらっとを見て、新井の言葉を返した。やっぱり、ここでも一緒か・・。

休憩が終わり、私たちは教室を後にして、自転車部がある練習場にむかった。
練習場は、広く試合ができてもおかしくない。何人かの部員が練習をしている。
「うへぇ~すげぇ。高校よりハイレベルな練習じゃん!」
いの一番に明智が喋る。私も口をぽかーんと開けて周りを見ている。すさまじい熱気が覆っているのが手に取るように分かる。
「ローラー台の練習がハンパじゃねぇ・・・。さすが大学だ」
明智は驚きを隠せずにはいられない状態だ。他のみんなもそれ見て、驚いている。
佐野は、少し歩き、骨太の男性に近づいた。
「石動(いするぎ)君」
石動と呼ばれた男は、振り向き佐野に挨拶を交わす。体格が大きく筋肉質で、髪は真っ黒で短髪だ。









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