My Dear Bicycle Racer!!
「分かりました」
「サボったら、愛の説教部屋だからな!絶対に来るんだぞ!」
「サボりませんよ・・」
私は、携帯を切り、仕方ないので駅の外に出た。さっきからすると、人の数は減ってきている。他の人たちは地下鉄などに行ったのだろう。ため息混じりでバス停に立ち、バスが来るのを待つ。時刻表には次に来るのが8時15分。完全に遅刻だ。携帯の時計を見たら、8時5分。バスが来るまであと10分。
「あ~もう、今日は厄日だ・・」
そう呟きながらバスを待つ。すると、携帯のメールに着信が入った。送信者は新井だ。

-えらく遅いけど、どうしたん?風邪?-

どうやら、新井は私を風邪だと思ったらしい。そんな心配してくれる新井に感謝したいぐらいだ。即座にメールを返信したと同時にバスが来た。学校経由のバス。これに乗り遅れたら、次に来るのが10時になってしまう。バスに乗り込み、乗車券を取り椅子に座る。このまま行けば9時前には学校に着くだろう。
軽いため息をつき、車窓を眺めた。暖かい太陽が時折射してくる。その光につつまれてか、ウトウトし始めた。
(や、やばい。ここで寝たら乗り過ごしてしまう。寝たら駄目・・)
そう自分に言い聞かせるが、逆効果だったらしく目を閉じてしまった。

「次は、駒ヶ丘高校前、駒ヶ丘高校前です。お降りの方はお知らせ願います」

バスのアナウンスがわずかながら私の耳に届く。ハッとして、目が覚め、停車ボタンを押した。乗車券とお金を払いバスを降り、また、ため息をついた。
ため息つく回数が多いなと感じながら、学校の正門に行く。当然、誰もいない。携帯の時計を見たら、9時が5分過ぎていた。教室を見渡すとすでに授業が始まっている。職員室に行き、担任の山室に改めて遅刻の理由を話した。
私たちのクラスの担任である、山室こと山室清三(やまむろせいぞう)は55歳の国語担当で、メガネをかけ、背広姿で教壇に立っている。また、生活指導の担当でもあり、月一にある、学年指導では熱弁をふるっており、それがたたっているせいなのか、一部の生徒には、「鬼室」と揶揄されている。
「うむ、大変だったな。どうする?今から授業に出るか。それとも2時間目から出るか?」
「えと、2時間目から出ます。今行っても中途半端になりますし」




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