My Dear Bicycle Racer!!
「は、はあ!?サボるわけ無いじゃん。てか、ちゃんと連絡してるのに、なんでそんなこと聞くの?」
「証拠はあるのですか?貴方みたいな人は言い訳すれば通るという人ですからね!」
(何言ってるのコイツ・・・コイツって、根堀り葉堀り聞いてくるから嫌いなのよね・・)
「証拠って・・先生に聞けば分かるじゃん。マジで意味わかんね・・」
「早く、証拠を見せてください!」
朝の家の出来事や駅の事故で重なって、しまいには西沢の訳の分からない説教。はっきり言ってキレそうな状態だ。周りからは「西沢、てめー何言ってるんだ!嘉納は事故で遅れたって言ってるだろ!」と言うと、「外野は黙ってなさい!」と一点張りだ。なおもせかす西沢に私はついにキレ、西沢の頬にパシーン!という平手を喰らわせた。その音を聞いたクラスの連中は静かになった。
「うっせーって言ってるだろうーが!!証拠証拠ってうぜえんだよ!なんだよ。私がそんなに信用できねーのかよ!」
西沢は鳩が豆鉄砲を喰らったように呆然とした。しばし言葉が出ない。私はなおも西沢を睨み付けている。さっきとは逆だ。我に返った西沢は何も言わずに自分の席についた。私は改めて教科書類を直し、机に突っ伏した。
「あ、明日香っち?」
新井が声をかけるが、私は何も答えずにそのまま突っ伏した。2時間目のチャイムが鳴り、私は仕方なく顔を上げ、授業を受けた。うっすらと涙が浮かんでいるのが分かるがそれを誰にも悟られ無いように涙を拭いた。授業中、西沢がちらちら見ているのを気になったが、あえて無視した。なんとか、午前の授業が終わり、背伸びをした私は、売店に昼食を買いに机から財布を取り出し、椅子から立とうとしたら、桂木と目があった。
「あ、昨日はどうも。というか、大丈夫?いろいろあったみたいだけど」
「うん、なんとかね」
「そっか。売店に行くの?」
「うん。桂木君は?」
「俺は・・・ちょっとね」
そう言うと、桂木は教室を後にした。見送った私は売店に行こうしたとき、廊下の掲示板に人だかりができている。時折、「マジかよ」「やると思ったけどね~」とか聞こえてくる。その人だかりに同じクラスの明智知晴(あけちともはる)がいた。明智は駒高の自転車部所属でリーダーらしい。

               






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