冷たい風に打たれて
ひとしきり笑った後に玲が風華に話を続けた
「で、今日お昼奢るから一緒に食べよ!!」
「うん!でも、奢られるのは…お昼は自分で買うよ。」
「風華。うちらに奢られるなんて、もう一生ないかもしんないんだから、大人しく奢られといた方がいいよ。」
うんうん、と玲が頷く
「ありがとう。じゃあ、今回だけ。」
「よしっ!決まり!!」
と二人が右手を出してグーの手つきをしてから親指を上げた
そしてその手を風華に差し出す
風華は何がなんだか分からず差し出された手を見ていた
「ほら、風華も一緒に!」
美希が風華の右手を掴む
風華も同じ様に親指だけを上げた
すると美希と玲は風華の手に手を寄せて親指を三人でぴたりとつけた
「?これは…?何の合図?」
風華が不思議そうに二人に聞いた
「ダチって事!!」
玲の言葉に風華は自然と笑顔が零れた
「ありがとう。」
初めての普通の学生生活の喜びで
浮かれていた
その頃
私は外で何かが起こり始めていた事に
全く気づいていなかった
全く…
それがこれから起こる
冷たい冬の嵐の始まりとは知らずに