冷たい風に打たれて
 

「やあ。一之瀬君。」

優しく温かみのある笑顔で風華を呼ぶ

「福永先生。この度は、環境省大臣就任おめでとうございます。」

風華は深々とお辞儀をした


「ありがとう。さあ、こっちへ。」

そう福永は言うと大きな長いテーブルの自分の席の向かいを手で指し示す

そのテーブルはかなりの年代物だが艶が出て細かな花や葉の彫刻が繊細に細工されていた


そしてテーブルには似つかわない、ご飯とお味噌汁、肉じゃが、秋刀魚焼きが置かれてあった


「最近外食が多いと聞いてね。こういったお袋の味なんていいだろう?」

「はい。」

福永は両親を亡くして外食ばかりの風華を気遣ってこのメニューにしてくれたのだった


「本当は君は痩せすぎだから肉の方がいいんだがね~。」


「ふふっ。お上手ですね。福永先生は。」


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