冷たい風に打たれて
福永洋三(ふくながようぞう)は62才の白髪であまり背は高くはないが優しく微笑むこの世界では数少ない裏がない男性だ
小さな頃から母親に連れられ、国会議事堂へ来てはよく頭を優しく撫でてもらったものだった
この福永が昨日の夜、環境省大臣になったのは風華にとっては幸運な出来事だった
以前の大臣は風華をチェスのコマの様に扱っていたからだ
「とりあえず、冷めない前に戴こうか。」
「はい。頂きます。」
一口お味噌汁を飲むと身体に染み渡った
「味はどうだい?」
「美味しいです!ダシもしっかりとしていて。」
「それは良かった。」